ヴォロノイ畳 TESSE とは
ヴォロノイ畳《TESSE》は、アルゴリズムを用いた独自開発の技術によって、空間の形状に合わせて分割パターンを生成できる量です。《TESSE》の独特のパターンは、自然界に頻繁に現れる幾何「ヴォロノイ図」を基にしています。パターンの自動的な出力にあたっては、畳を製作する上での材料の規格や製法、ヴォロノイ図という幾何学的な規則などをアルゴリズムに落とし込んで、世界に一つだけの畳をその都度生成します。
NOIZ
2007年に豊田啓介と蔡仕置のパートナーシップとして東京で設立。2009年より台北事務所を併設。2016年より酒井康介がパートナーに加入。コンピューテーショナルな手法を積極的に駆使し、建築を軸にインテリア、インスタレーションなど幅広いジャンルで国際的に活動。最新デジタル技術のデザインやファブリケーション、システム実装などに関しても、教育やリサーチ、コンサルティング活動を積極的に展開。
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国枝
明治35年創業。現在は岐阜県揖郡を拠点に畳製品製造販売を行う。日本の古き良き文化の代表である、その伝統を知り尽くし、守り続けてきた国だからこそできる最新の技術を取り入れた、新しい文化の創造を行っている。
ローカルからグローバルへ
現在では、3Dスキャニング技術の進歩により世界中のどこでも、必ずしも直線や直角ではない多様な部屋の寸法や形状情報が取得可能になっています。以前はほぼ国内限定、 近所の畳屋さんに採寸してもらうことが前提だった畳という伝統的な素材が、ネットとパラメトリックな形態生成技術、CNCファブリケーション技術を組み合わせることで、 突然世界に広がりをもち、かつ個々のオーナーが独自性を楽しむことができる、新しいデザインプロダクトに昇華します。
4畳半から都市スケールまで
《TESSE》の例にとどまらず、伝統産業や工芸とテクノロジー、デザインの融合により価値や市場を拡張し、国際的に存在感を高める可能性は他にもたくさんあるはずです。NOIZでは、他の伝統産業においてもそうした価値の再編成、の試みを進めています。さらには、《TESSE》で用いたようなアルゴリズムのモノへの実装可能性は、多様なスケールを超えて、建築や都市といったより複合的な領域へと拡張しています。そうした動的な構造全般を扱うことこそが、これからの建築デザインに求められる技術なのです。
ヴォロノイ畳を可能にした
細部に宿る技術力
日本の伝統文化である畳は、昔から職人の優れた技術によって支えられ受け継がれてきました。そんな伝統を現代のテクノロジーと融合させ進化させ続けてきたのが国枝です。
世界に2つと無い完全オーダーメイドの断裁機をはじめとする最先端の技術と、受け継がれてきた畳職人の技術を溶け合わせることで、畳業界では不可能と思われてきた複雑な形状の畳の制作を可能としました。
NOIZの常識にとらわれない自由な発想を形にする。それには伝統だけにとらわれない国枝の技術力があってこそ実現できたものです。
Photo Credit: 高木康広